電話回線の種類と現在利用している回線の調べ方

電話回線は大きく分けると、アナログ回線、デジタル回線、光回線の3種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。ここでは3つの電話回線について解説します。

電話回線は大きく分けると、アナログ回線、デジタル回線、光回線の3種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。ここでは3つの電話回線について解説します。

アナログ回線

アナログ回線はアナログ信号で音声及びデータの送受信を行う、最もポピュラーな電話回線です。黒電話の時代から使われており、現在でも単に電話回線と言われればこのアナログ回線のことを指します。銅線を使っているので、メタル回線、メタルケーブルなどとも呼ばれます。

ちなみに、ADSL(エーディーエスエル、Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)はアナログ回線を利用したインターネット回線のことであり、電話回線の種類ではありません。

ダイヤル回線とプッシュ回線

アナログ電話網において電話機から送出されるダイヤル信号の方式には、DP信号(ダイヤルパルス信号)とPB信号(プッシュボタン信号・トーン信号とも呼ばれる)の2種類があります。

ダイヤルとプッシュの見分け方

電話機の受話器を上げて「ツーツーツー」と音がしている状態の時に番号をダイヤルし、「プップップッ」と聞こえるのはダイヤル、「ピポパ」と聞こえるのはプッシュです。

デジタル回線(ISDN)

デジタル回線はデジタル信号でデータの送受信を行う通信回線の総称です。アナログ回線が音声をそのまま電気に乗せて送信しているのに対して、デジタル回線は音声をデジタルデータに変換して送信するため、アナログよりも音声がクリアに聞こえるのが特徴です。

デジタル回線のひとつにISDN(アイエスディーエヌ、Integrated Services Digital Network、サービス総合ディジタル網)回線がありますが、一般的にはデジタル回線=ISDN回線という認識で問題ありません。

INSとISDNの違いは?

INSというのはISDNを利用したNTTのサービス名のことであり、INS64とINS1500の2種類があります。

INS64はアナログ回線と同じく銅線を使うため、比較的安い価格でアナログ→デジタルの切り替えを行うことができます。個人や小規模の店舗などで電話番号の他にFAX番号を追加するといった、ライトなユーザに利用されます。

INS1500回線は光ケーブルを使用し、1回線で23通話分の通話路を利用することができる、大容量の通信を行う企業や法人向けのサービスです。

光回線

光回線は、アナログ回線やデジタル回線で使われていた銅線ではなく、光ファイバーケーブルを使って、デジタル信号を電気ではなく光で送る仕組みの回線です。FTTH回線(Fiber To The Home = ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)とも呼ばれます。

光は電気よりも伝わるスピードが早いため、前述の2種類の回線に比べて高速で通信ができるのが特徴ですが、銅線ケーブルと比べて価格が高いというデメリットもあります。

ひかり電話とは?

ひかり電話とはNTTが販売しているIP電話サービスの商品名です。名前の通り、回線に光ファイバーを利用しいるため、ADSL回線のIP電話よりも安定した品質が機体できます。また、従来のIP電話は050から始まる番号が割り当てられていましたが、ひかり電話はそれまで使っていた固定電話と同じ電話番号が使えます。

その他の電話回線:専用線

上記の3種類の電話回線以外に専用線と呼ばれるものがあります。

専用線とは、一般的な公衆電話網を利用した電話回線とは異なり、特定の拠点同士を接続できる専用回線のことです。

内線電話と同じように使えるので異なる場所同士の通話でも通話時間に関わらず定額の料金で通話することができます。また、公衆網と比較して、情報漏洩・盗聴・改竄の可能性が低いこともメリットです。用途に応じて様々な種類の専用線が使われます。 

専用線とそれ以外の回線は、公衆網に接続するか、拠点同士を接続するかの違いだけなので、実際に使っている回線はどちらも同じアナログ回線やデジタル回線、光回線です。

市内専用線(LD)

市内専用線は近距離の拠点同士を接続するのに利用されます。LDはLoop Dial(ループダイヤル)の略です。主に市内回線に使われるものですが、内線電話と同じように通話料を気にせず使えるので、複数拠点でのビジネスにおいて非常に大きなメリットがあります。

市外専用線(OD)

市外専用線は遠距離の拠点同士を接続するために使われます。ODはOut Band Dial(アウトバンドダイヤル)の略です。

デジタル専用線

光ファイバーやISDN回線等のデジタル回線を利用して2つの拠点を接続する専用線です。広いエリアで安定した回線速度で通信ができることから、「拠点間WAN」などと呼ばれたりもします。コストが非常に高いため、現在では、より安価で高速なIP-VPNや広域Ethernetなどにサービス移行が進んでいます。

IP-VPN

IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)は、通信事業者の閉塞網(インターネットから直接アクセスできない閉じたネットワーク)を利用して、インターネット回線に仮想の専用線(プライベートネットワーク)を作り、機密性や通信品質に優れたIP接続を行うことができる技術のことです。

従来の専用線は銅線による通信回線を実際に確保する必要があり、導入費用が非常に高額になるというデメリットがありましたが、現在はIP-VPNを利用して、実質的な専用回線を比較的低コストで利用することができます。

SIP専用線とは?

SIP(Session Initiation Protocol)とは、IP網でテレビ電話やビデオチャットなどのリアルタイム通信を行うために必要なプロトコルのことで、IP専用線の中でこれに対応したものをSIP専用線と呼びます。

従来の専用線の場合は拠点が増えると専用線の導入コストも増加しましたが、SIP専用線の場合はコストをかけずにそれらに対応することができます。

電話回線の種類の調べ方

自分が使っている電話回線の種類はどのようにして調べれば良いのでしょうか?
自宅あるいは会社の電話がアナログ回線なのかデジタル回線なのかわからないときは以下の方法で確認することができます。

電話料金の明細書を確認する

一番簡単なのは毎月の電話料金の明細書を確認することです。NTTやソフトバンクテレコムから送られてきた明細書の中にINSという表記があればデジタルです。KDDIメタルプラスはアナログ回線しかないので、KDDIから請求書が来ていればアナログです。

114に電話して確認する

携帯電話や公衆電話からNTTの114番に電話して、アナウンスが流れたら自宅・会社の番号をプッシュします。
その後のアナウンスで、

  1. 「お待たせしました。お調べの・・」と流れたらアナログです。
  2. 「お調べしましたが確認できません」と流れたらデジタルです。

電話機周りの機器を確認する

電話機が別の機器に接続されていないか確認してみましょう。もしお弁当箱くらいのサイズでランプが付いている機器に接続されていたらその機器のラベルを調べてみてください。

  1. ラベルに「ISDN」と記載があればデジタルです。
  2. ラベルに「ADSL」と記載があればアナログです。
  3. 機器がなければほぼ間違いなくアナログです。