会社やお店を新しく立ちあげるにあたってビジネスフォンの導入を検討している方のために、ビジネスフォンとはどのようなものなのか紹介します。
会社に勤めていた頃は毎日当たり前のように使っていたビジネスフォンですが、いざ自分が導入(購入)するとなると、コストがどのくらいかかるのか?普通の電話機と何が違うのか?など、わからないことだらけだと思います。
適当な業者に頼んで失敗する前に、まずはビジネスフォンについての基本的なことを押さえておきましょう。
ビジネスフォンと家庭用電話の違い
会社や事務所などで使われているビジネスフォンは一般の家庭用電話機と何が違うのでしょうか?
家庭用電話機の特徴
家庭用の電話機は基本的に1つの電話回線(電話番号)を1台の電話機で使用します。1階と2階にそれぞれ電話機を置いている場合であっても、電話回線は1つなので、1階の電話を使っているときは2階の電話は使えません。
会社のように各社員のデスクに一台ずつ電話がある環境で家庭用電話機を使おうとすると電話機の数だけ電話回線(電話番号)が必要となってしまいます。もちろん電話機だけでなく人数分の配線や設備も必要となり、これでは無駄が多過ぎます。
- 家庭用電話機のメリット
- 導入コストが安い
- 必要な機器は電話機のみ
- 家庭用電話機のデメリット
- 電話機1台で1つの電話回線が必要
- 1台が通話中だと別の電話機で着信、通話ができない
- FAXと同時に利用できない
ビジネスフォンの特徴
ビジネスフォンは1つの電話回線で複数の電話機を同時に使えることと、内線電話ができることが大きな特徴です。オフィスフォン(オフィス電話)、法人電話などとも呼ばれることもあります。
ビジネスフォンを利用するためには外線(電話回線)と内線(電話機)を制御するための装置(PBX)が必要となります、主装置の種類によって出来ること、出来ないことが変わってくるので、大規模なネットワークを組んだり、電話以外の機器を使ったりといった特殊な用途を考えている場合は、事前に対応の可否を十分に確認しましょう。
- ビジネスフォンのメリット
- 1つの電話回線で複数の電話機が使える
- 1台が通話中でも別の電話機で着信、通話が可能
- 内線通話であれば通話料がかからない
- FAXと電話が同時に使える
- ビジネスフォンのデメリット
- 導入コストが高額である
- 電話機と主装置が必要
ビジネスフォンの主な機能
ビジネスフォンを導入することで利用できる主な機能について説明します。機種によっては一般的なビジネスフォンであればどの機能も全ての機種にあるものですが、
ダイヤルイン
契約している電話回線に電話番号を追加し、追加した電話番号に着信番号情報を創出することで、電話番号毎に着信する機器を振り分けることができるようになります。
例えば、00-0000-0001にかかってきたら電話を鳴らし、00-0000-0002にかかってきたらFAXが鳴るようにする、といったことができるようになります。
また、電話番号毎に着信できる数を制限したり、特定の番号のみを転送するような制御も可能です。
ナンバーディスプレイ
外線着信時に相手の電話番号を電話機のディスプレイに表示させる機能です。携帯電話などには初めから付いている機能ですが、ビジネスフォンでこの機能を使う場合はNTTへの契約が必要です。
ナンバーディスプレイのオプション機能として、発信者の電話番号のほかに、名前や会社名などが表示されるネームディスプレイというサービスもあります。
CTI
CTIは「Computer Telephony Integration」の略で、電話やFAXを社内のコンピュータシステムと統合する仕組みのことです。
ナンバーディスプレイと組み合わせることで、電話をかけてきた顧客の情報をパソコンに表示したりすることができます。
外線転送
かかってきた電話を自動的に別の電話へ転送する事ができます。自動的に転送させる自動転送と手動で転送先を指定する手動転送があります。
手動転送の例として、顧客から外出中の社員宛てに入電があった際、一旦保留にして外出先の社員へ携帯電話で確認し、問題なければ転送するといったような使い方が可能です。
ネットワーク機能
本社、支社、工場などの別々の場所にあるオフィスをひとつのネットワークとして管理できるようになります。ビジネスフォンの機種によって対応状況及び使える機能は異なります。
内線通話
個々の電話機に予め設定してある内線番号をダイヤルし、会社内の電話同士で通話をすることが可能です。メーカーにもよりますが、東京本社と大阪支社のように会社が別々の場所にある場合でもネットワーク化することで内線通話が可能になります。
短縮ダイヤル
短縮ダイヤル機能は一般の家庭用電話にもありますが、ビジネスフォンならシステム内で共通の設定にすることができます。最近の機種ではパソコンでこれらの設定を一元管理できるものもあり、大規模なコールセンターなどでは必須の機能となっています。
ビジネスフォンとして利用可能な端末
多機能電話機
いわゆるビジネスフォンの電話機です。家庭用電話にも付いている番号のボタン以外に、ファンクションキーというボタンが付いているのが特徴で、キーテレフォン、ボタン電話などと呼ばれることもあります。
単独電話機
一般の家庭用電話機と同じものです。機能は制限されますが、家庭用電話機もビジネスフォンとして利用することができます(メーカーによって対応の可否は異なります)。
PHS・携帯電話
メーカー純正のPHSの他、ウィルコムや楽天モバイルのPHSも内線電話として利用することができます。広い倉庫や工場などで携帯電話の感覚で内線電話を利用することができます。
NTTドコモの一部の携帯電話も内線電話として利用可能です。
その他
ドアフォン、ナースコール、セキュリティシステムなども社内のビジネスフォンシステムと連動させて使うことができます。
ビジネスフォンの必要性
一般の電話回線と比べてビジネスフォンの導入には非常にコストがかかります。
新しく事業を立ち上げたばかりの頃は余計な出費はできるだけ抑えたいのが普通ですので、わざわざ高額なビジネスフォンを導入する必要性を感じない方も多いと思います。
「新しくお店をオープンするけどビジネスフォンは必要なのか?」「一般の家庭用電話機でも別にいいのではないか?」と考えるのは当然でしょう。
実際にビジネスフォンを導入している企業やお店はどのような必要にせまられてビジネスフォンを導入したのでしょうか?
ビジネスフォンが必要な2つのケース
あなたの現在もしくはこれから作ろうとしている職場環境が以下の条件にあてはまるようであれば、ビジネスフォンを導入した方が効率的に仕事ができるでしょう。
- 顧客向けの電話問合せ窓口がある
- 職場が2フロア以上に分かれている
1. 顧客向けの電話問合せ窓口がある
カスタマーサービスやサポートセンターなど、顧客向けの電話問い合わせ窓口を持っている会社はビジネスフォンの導入すべきです。
一般の家庭用電話機は、1人の顧客と通話している最中は別の顧客からの電話には出られませんし、こちらからかけることもできません。もし通話中に他の顧客から電話がかかってきても出ることができないため、顧客は別の会社に問合せをしてしまいます。
特に、自社商品や自社サービスの見積り案内を電話で行うような業種の場合は、顧客からの電話に出られるかどうかが直接売上に関わってくるため、ビジネスフォン導入は必須といえるでしょう。
2. 職場が2フロア以上に分かれている
事務所と倉庫、あるいは社長室と営業部など、会社に複数のフロアがあり、それぞれ専用の電話番号を持っている環境では、ビジネスフォンを導入すれば、電話の取次ぎにかかる無駄な時間を削減し、効率的な業務が可能になります。
例えば、事務所と倉庫で別々の電話番号があり、それぞれの場所で家庭用電話機を使っていた場合、事務所宛ての電話は事務所で、倉庫宛ての電話は倉庫でしか受けられません。そのため、顧客が事務所宛ての電話を間違えて倉庫の番号にかけた場合、一旦電話を切ってかけなおしてもらう必要がありますが、ビジネスフォンなら別番号にも保留して転送できます。
さらに、通話料無料で内線電話ができるので、場所の離れた事務所と倉庫で日に何度も電話でやりとりするような場合は、家庭用電話機や携帯電話に比べて大幅なコストカットが見込めます。
ビジネスフォンを導入するメリットが少ないケース
以下の条件にひとつでも当てはまるようであれば、家庭用電話機でも困ることはないので、わざわざビジネスフォンを導入するメリットは薄いと考えられます。
- 電話での問合せ窓口がないし今後作る予定もない
- 顧客からの問合せの99%はメールなので社内の電話はほとんど鳴らない
- 社員全員が1つの部屋で仕事をしている
- 電話対応ができるスタッフが1人しかいない
まとめ
以上、ビジネスフォンとはどのようなものかということを簡単に紹介しました。
ビジネスフォンは家庭用電話機と比べると、非常に多機能で費用も高いため、導入に躊躇してしまいがちですが、基本的な機能と必要なシーンときちんと理解して使えれば、あなたの会社の業務を大幅に効率化してくれるでしょう。
これまでの内容を読んでビジネスフォンの必要性を感じた方はぜひ導入を検討してみてください。